フェジン+生食、疑義照会、するかしないかーお作法的には5%Glcですー

国家試験でも定番中の定番の配合変化

フェジンの生理食塩水への希釈

フェジンの添付文書を確認すると、このようにあります。

適用上の注意

3.  希釈時
pH等の変化により配合変化が起こりやすいので,他の薬剤との配合に際しては注意すること。なお,本剤を希釈する必要がある場合には,通常,用時10〜20%のブドウ糖注射液で5〜10倍にすること。

疎水コロイド表面を電解質が電気的に中和することで、コロイド同士の反力が失われ沈殿します。これを凝析と言いうのは、高校レベルのお話し。図説などは青本、別サイトに譲ります。

めんどうな詳しい説明を他に譲ったところで、本日の本題。

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フェジン+生食、疑義照会、するかしないか

注射調剤・監査時にフェジンを生理食塩水で希釈する処方に疑義照会を行うべきかどうか。

ちなみにTwitterに投票期間1日で投げたところ以下のような結果に

219名の方が反応を、うち127名の方がする、しないに投票してくださいました。この場を借りて御礼申し上げます。このうち127名を円グラフに変換しますと、こちら…

ほぼほぼ4人に1人が疑義照会をせずに監査を通すとの結果となりました。

当然教科書的・学問的に正解であるのは疑義照会を行い、5%Glcに変更するのが正しいことは明白です。国試レベルの問題です。

僕のターン:僕は疑義照会しない派です

教科書的・学問的には疑義照会するのが正しいです。これは疑いようがありません。国試でも定期試験でもフェジンの希釈は5%Glcと回答してください。では、臨床上の問題を考えた場合はどうでしょうか。

臨床上の問題は鉄コロイドの凝析、沈殿によるルートのつまりと血管内への異物の侵入です。

フェジン中の鉄コロイドは生理食塩水中の塩化物イオンによって沈殿を生じますが、僕の経験上ですが、※生理食塩水つまり0.9NaClの場合6時間程度では沈殿等外観変化を認めないので、フェジン生食の処方を端から疑義照会していくということはしていません。

当然これは褒められた行為ではありませんが、業務上のリソースやエビデンスを考慮し、臨床上問題にならなければ監査を通すことは珍しいことではないと思います。

まあ、美しくない、おセンスのない処方であることに変わりありませんので、病棟でこっそりDrに教えるくらいはしますし、Drから希釈液について問い合わせがあれば『お作法的には5%Glcです』と回答しています。

次回予告

フェジンを実際に生理食塩水と5%Glcに溶かして沈殿の様子を観察した報告も別途記事にする予定です。ご期待を!!

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